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館山市立北条小学校の「アフターネットデイ」

教室の様子1教室の様子2教室の様子3

館山市は千葉県の南端、南房総地域に位置する人口5万人強の都市です。館山市の中心部、館山市役所に隣接したところに館山市立北条小学校が位置しています。北条小学校では、昨年11月、南房総地域で初めて、小学校での「ネットデイ」を実施し、PTAをはじめとする地域住民300名余りボランティアの手で、校内LANを敷設しました。北条小学校の「ネットデイ」については日経デジタルコアとCANフォーラムにより、以下のホームページで紹介されています。

http://www.nikkei.co.jp/digitalcore/local/11/index.html

 教室の様子4

校内LANとともに、「人のつながり」も手に入れた北条小学校では、その後、「アフターネットデイ」として、引き続き地域住民が、パソコンの敷設や子供たちに向けたパソコン教室の実施に取り組んでいます。「ネットデイ」から「アフターネットデイ」へ。その一連の取り組みを伺うため、千葉県館山市を訪問しました。

館山市1館山市2館山市3

館山市に到着して、まず最初に訪ねたのは北条小学校。市の予算だけでは整備しきれない小学校のパソコン設備を、保護者の方々が中心となって、中古パソコンの入手、整備、校内LANの敷設から稼動後のメンテナンス、授業までやってしまおうと言う「ネットデイ」の取り組みについて伺った。先方は、安西校長先生をはじめ、PTAで館山市教育委員会職員でもある石井さん、NPO南房総IT推進協議会の鈴木さん、そして、昨年のPTA会長でネットデイ実行委員長の秋山さん、同じくPTAの梨岡さん、坂東さん、下山さん、そして近くの高校で情報科の先生をされている網代先生、と多くの方が対応してくれた。

私・個人的には、以前(3?4年前)、企業系のNPOと付き合いがあり、「ネットデイ」という言葉は、そのときに耳にしたもの。ただ、市民主体のプログラムに興味は覚えたものの、どうもスポンサー(企業)の姿が見え隠れし、純粋な社会的責任の遂行と言うよりも、営業戦略の一環・・・と言った感触が抜け切れず、それきりになっていた。北条小の取り組みは、そのときの私の懸念を吹き飛ばすものだった。

まず、アフターネットデイの担い手の一人(保護者)キャサリン(坂東さん)による、メールの使い方とマナーの授業を見学。教室に入って、どうも違和感を感じる。 各児童の使用しているパソコンが、一台一台、機種が違うのだ。これは設定やメンテナンスが大変なのでは・・・と、まずは一驚き。後で聞いたところ、やはりプリンターの設定とかに苦労されている とのこと。

保護者主体で校内設備をいじる事に関しては通常、管理者側が難色を示すことが多い。まず、その点について安西校長先生に伺ったところ、

「北条小学校には、歴代の各先生が作った授業用資料をストックして管理する『カリキュラム管理室』がある。そのデータをデジタル化することが、近年の当校の課題であったが、まずパソコンの絶対数と校内LANの設備が足りず、暗礁に乗り上げていた。そこへ、保護者の会からネットデイの話があり、渡りに船だった。」

・・・と、さらっと言われるものの、やはり校長先生をはじめとする北条小の先生方の柔軟性は、成功のキーポイントの一つであったと感じられる。

ネットデイからアフターネットデイに至る取り組みを支えた方々は、必ずしも全員がパソコンとかネットに詳しいわけではない。例えば、ハードチーム責任者の梨岡さんは、通常にパソコンは操作できるものの、最初は「ハード」チームの責任者になれるほど、パソコンのハードウェアに詳しかったわけではない。館山高校の網代先生とか、色々な知識、能力を持った方々が、それぞれの力を生かし、さまざまな役割分担をこなして行ったところに成功の鍵がある。

最初はまず、パソコンが集まらなかった。やはり館山市だけでは、一定スペック(高いスペックである必要はないが)の中古パソコンを、教室で使えるほどの数、集めることは困難であることがすぐに分かった。 しかし、そのときに「アインシュタインプロジェクト」 http://www.einstein-project.gr.jp/ の存在を知った。 アインシュタインプロジェクトは、中古パソコンの再生・寄贈を行なうNPOである。

アインシュタインプロジェクトの協力により、どうにかパソコンの数を確保するメドは立ったが、引き続き、OSの無償提供とか、次々と問題が表れたが、誰か一人ががんばる・・・ということではなく、自主的な役割分担で、どうにかここまでやって来ることができた、とのこと。

昨年の活動費は5万円だが、結果として70台のパソコンを稼働させることができた。市の関与は材料費(30万円弱)のみ、とのこと。行政が入ると、どうしても上意下達になってしまう。 ネットデイは縦型組織で行なうものではない。 如何に楽しくたくさんの「人」を巻き込むか。

ネットデイを単なる安価な工事にはしたくなかった・・・と石井さん。 地域の人に関与してもらうため、いろいろな参加形態を作った。お母さん方には昼食班、子供たちからは手製のおみやげ(貝殻のストラップ)。 まず海岸へ出て、貝殻拾いから始めた。誰でも少しは参加できるように・・・その結果、ネットデイ後も参加してもらっている。

行政に期待する役割としては・・・東京やそれなりの都市ならば、大きな企業での更新替えで不要パソコンが大量にでる。しかし館山市には、そういうルートがなかった。 そういう部分を行政がサポートしてくれたらいいのに、と思っていた、とのこと。これならば、お金はあまりかからない。

最後に、再び安西校長先生の言葉を。

「北条小学校は、昔から保護者に支えられている学校なんです。そういう長年の活動に基づいた信頼関係が、ネットデイを成功させた要因だと考える。

【メモ】

館山市立北条小学校 http://www.city.tateyama.chiba.jp/school/houjyo/

(明治5年設立 現児童数740名)

■2003年11月23日(祝)ネットデイ実施。

■その後、「アフターネットデイ」活動として、引き続き「ハード」チーム、「教育支援」チームを結成し、パソコンの整備と北条子どもパソコン教室を実施。

■「北条こどもパソコン教室」については文部科学省の「地域子ども教室推進事業」として実施し、PTAが講師を務めるほか、NPO南房総IT推進協議会のITヘルプデスクメンバーもスタッフとして手伝っている。

■パソコン整備については「ハード」チームが中心となり、住民等から寄付されたパソコンの初期化、再インストールや、プリンタ、ネットワークの設定などを行っている。

北条小学校のネットデイ、アフターネットデイに関する取り組みについては、以下にメンバーによって開設された公式ホームページがあります。

http://www.city.tateyama.chiba.jp/school/houjyo/netday/nirenoki.html

(記:田中幹也)

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